ニューオーリンズに学ぶ災害復興における起業家エコシステムの役割

どもども。青木です。

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いきなりですが、もう青木この本大好き。

 

www.minervashobo.co.jp

 

誰か全巻揃えで買ってくれください。

 

さて、この本に関連したブログが4,5本あるのですがそのうちの1本であります。

 

本書で紹介されている中に地域経済と社会起業について書かれています。

今回は知ってる人も多いかもしれませんがニューオーリンズで起業家エコシステムを作っていたティム・ウィリアムソンさんのお話しを紹介します。 

 

注意なのですが
災害復興後に起業家エコシステムができたみたいな記事が多かったのですが、
ちゃんと調べると起業家エコシステムの仕込み自体は災害前からです。

 2005年にハリケーンカトリーナの被害を受けたニューオーリンズ
起業家エコシステムがあったがために、
政府や外部のニューオーリンズ出身者からの支援を受けた際にできたネットワークを維持することができて、
今に繋がっているよ、
というお話しです。

 

さてさてはじまりはじまり〜。

 

教育水準の低さ、犯罪率の上昇、頭脳流出、若年労働人口の流出が激しかったニューオーリンズ

起業家ティム・ウィリアムソンはニューオーリンズにUターンし、2000年、アイディアヴィレッジを立ち上げました。アイディアビレッジは主として地域のために活動する地元の起業家をエコシステム構築によって支援してきました。投資家、企業、政府がネットワークに参加し、相互にリソース提供を行い、2009年以降5,854人の起業家と仕事をともにしてきたとのことです。

 

ウィリアムソンは起業家のエコシステムを次のように説明しています。

エコシステムは、地域の文化や状況にあわせて創造されるものである。投資家や企業など資本提供者、大学、政府機関など多様な人々や組織をまとめ、かつ、彼らが積極的に動き出すように、地域のリソースを結びつけていく。エコシステムは、長期にわたるコミットメントがあってはじめて創造できるものであり、地域の資産となる。それを起業家が活用するには地域のエコシステムは有機的でならなければならない。

また、起業家のためのエコシステムを構築するには、次の5つのステップが重要であると述べています。

1. 課題を特定する(Identify the Issue) 

2. 起業家となる人材を見つけて定着させる(Find the leader and Retain)

3. ネットワークを構築する(Scale the network)

4. 維持していく(Sustain the network)

とのことであり、ニューオーリンズのエコシステム構築には10年かかったとのことです。

 

あとちょっと次のところすごく良いから読んでいって!

 

若者の流出が課題であると特定しがちであるが、ウィリアムソンは地域に資本、インキュベーター、技術支援など起業をサポートする機会が様々あったにもかかわらず起業家が去っていったことに注目した。そして「既存のネットワークはあったが、それは、閉鎖的なものになっていたこと」が課題だと特定した。

 

なるほど感が強いです。確かに昨今の潮流はより起業家フレンドリーに変わっていると感じています。シリコンバレー式の取捨選択、からほとんどの地域で起業家の数が少ないために起こっている、育てる方式への転換のためではないかと考えられます。

 

ウィリアムソンは地域のリーダーについてこう述べています。

地域のリーダーとはコミュニティの多様な人をまとめる力を持つ人であり、彼らのモチベーションは未来を創造することに影響を及ぼしていることへの充足感である。地域イノベーションに必要な起業家精神とは、「変化を起こすだけではなく、変化を受け入れる許容力であった」 

「変化を起こすだけではなく、変化を受け入れる許容力であった」

字面にするとよく見るし簡単な表現だと思いますが、
ネットワークを構築し、維持する上では大切なことです。
起こった小さな変化が受け入れられることで、さらに大きな変化を呼び込んでいく。
エコシステム作りはそういった小さな変化を一つずつ積み重ねて、
大きな変化を待ち受けることなのだと思います。

 

青木