企業内コミュニティマネージャーとオープンイノベーション

どもども。青木です。

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ここ3ヶ月くらい 

青「企業にもコミュニティマネージャーが必要な世界が来ると思うんスよねー。なんとなく。」

人「…(゚Д゚)ハァ?

というやり取りが何度かあったのですが、
このへんの学術研究を発見したのでシェアします。

 

そもそもなんで社内コミュニティマネージャーなんていい出したのか。

そもそも企業内コミュニティマネージャーが必要だーと私が言っている背景としてパナソニックでの体験がありました。

パナソニックにはWonder LABというオシャな社内外向け共創スペースがあります。確か私がパナソニックに入社した2016年にできました。

そこには血気盛んな「俺が一発やってやらァ!」という人と、「自分でやるほどじゃないけど誰か面白いことやろうとしていたらお手伝いしたいなぁ」という人が集まっていました。

 

ここでは様々なイベントが設けられ、ピッチをしたり、当時流行っていたサービスについて議論したり(ポケモンgoとか)、社外からゲストを呼んで講演を聞いたりしていました。

私もそこでピッチしました。新入社員では初めてとのことでした。

内容は「なんでもやるからシリコンバレーイスラエルに連れてけ!」というピッチでした。もうむちゃくちゃですね笑

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その時もらったNice Challenge賞。

 

そこでいろんな人と挨拶(名刺交換)することになるのですが、

マッチが起きない。

 

なにが原因かというと共通点探しが非常に厳しい。
最初の名刺交換。

人「メカトロニクス事業部の…」
青「(なにそれ。カッコいいんですけど。)
  あ、デリバリー部の青木です」

人(推測)「(ピザ屋なの?)」

 

という感じでお互い何やってるかよくわからないんです。
共通点って見いだせないとお話し厳しくなるじゃないですか。
そうすると挨拶だけになって結局マッチが起こらずプロジェクト化しなかったんです。

 

もしコミュニティマネジャー的な立ち回りをして間を取り持って、共通点を見いだせる人がいたらきっとプロジェクト化していたと思ってます。

 

※あくまで当時の話しであってその後運営チームの方々の尽力でハッカソンのアイディアがきちんと試作品までこぎつけたりしてます。

 

ということで本題の論文を紹介しましょう。

 

企業内ソーシャル・キャピタルとオープンイノベーション

(百嶋 2018)*1は“ネットワーク閉鎖性"について述べています。

このネットワーク閉鎖性にはグラデーションがあります。
閉鎖性がクローズドに寄りすぎるとクローズドイノベーションにこだわったり、NIH(Not Invented Here)症候群にかかると指摘しています。

よくオープンイノベーション文脈で取られがちな社外との関わり、と先述のクローズドの間に『企業内ソーシャル・キャピタル』があるといいます。

 

社内にはそれぞれの組織が独立しがちで「社内顧客」などと呼ばれたりしますが、この社内顧客の満足度を向上させておくことが企業内ソーシャル・キャピタルにおいて大切なことです。

「いつもよくしてもらってるから今回は無理を聞いてあげよう」みたいなことですね。

 

また、オープンイノベーション(企業外含む)で留意すべき重要なポイントとして次のように挙げられています。(以下要約)

情報・人的ネットワークの構築

外部連携の契機は個々の担当者の人的ネットワークによるものであることが多い。偶発的な出会いを引き寄せるために、日頃から情報収集力を付けておくことも重要であろう。そのための活動としては多様なネットワーキングやコワーキングスペースやシェアオフィスへの参加などが挙げられる。これらの活動は必ずしもフォーマルな業務としてではなく、インフォーマルな自主的活動として取り組むことが望まれる。企業としては、このような個人レベルの裁量的・創造的な自主的活動を許容・奨励することも必要であろう。(要約終わり)

 

人材の流動性が激しくなっている現代において上記のような役割を果たす、外部とのネットワークを持った社員を育成・確保・定着するために必然的に働きやすい環境を整備する必要がある。

 

ハイブリッド型ネットワーク構造

ネットワーク閉鎖性を保つ一方で、オープン化を推進するというネットワーク構造についても言及されています。

本書ではアップル、GE、IMEC、ファブラボの先進事例が取り上げられていますが、すごく雑にいうと社員同士の繋がり、社内ネットワークを構築する一方で、社外とのネットワーク構築を一緒に進めることです。
ここではバーチャルなネットワークは組織同士の橋渡しとして、リアルな場は人と人との直接の繋がりを通して偶発的なイノベーション創出がなされるとされています。

 

さて、たまたま読んでた本に"社内ネットワークまじ大事”って書いてあって感激したのでシェアしちゃいました。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

青木

 

 

*1:大守隆『ソーシャル・キャピタルと経済 効率性と「きずな」の接点を探る』ミネルヴァ書房,2018,p89-109