今さら聞けない“社会関係資本”の話
どもども。青木です。
さてさて、思えばこれまでさらっとしかしてこなかった、社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)について書こうと思います。
コミュニティ、コミュニティと言っているのですが、
より上位概念の社会関係資本という言葉があります。
教科書的な位置づけとしては“コミュニティ形成の結果、社会関係資本が蓄積される”という表現になるのですが、この社会関係資本というものがなんなのかを解説していきます。
先日東京大学FoundXの馬田隆明さんによってまとめられた、『コミュニティマネジメントとは何か、なぜ今重要か/これから始めるコミュニティマネジメント入門』。こちらがRTで回ってきました。多くの方々がRTしており、コミュニティマネジメントの認知の広がりを感じます。
こちらは上述のスライドです。めっちゃ量多いですが読むべし。
https://www.slideshare.net/takaumada/startup-community-management-1
さて、社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)が最近アカデミックの世界でも注目されているような気配はありました。東北大学図書館に置いてある社会関係資本の本達も、なんか新しいものが多く、被引用文献もここ1~3年までの論文が出てきてます。論文数をグラフにするとかはしてないので厳密にはわからんのですが。
今回は社会関係資本、ソーシャル・キャピタル自体が
・社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)という言葉
・最近研究が盛り上がってきていている理由
・もう無視できないビジネス上のコミュニティ形成
をご紹介します。
なお、本記事の参考文献は『ソーシャル・キャピタルと経済 効率性と「きずな」の接点を探る』です。
社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)の定義
まず基本的な定義を述べますと、
人々が持つ信頼関係や人間関係(社会的ネットワーク)を指します。
社会関係資本が豊かである、ことは人間関係の豊かさを示すものです。…わかったようなわからないようなですね。
ですが普段から皆さんは社会関係資本に触れながら生活しています。
たまたま居合わせた人と友達になって遊んだりビジネスに繋がったりする“縁”
それを持っていない人よりも有利に物事が進む“コネ”
そういったものを“社会関係資本”と呼びます。
社会関係資本が蓄積されると
本来必要な手順をぶっ飛ばして資源へのアクセスが可能になります。
取引先の紹介、恩義によって無理を聞いてあげる・もらうこと、そして本来ならアクセス不可能な人にアクセス可能になる、といったものです。
社会関係資本の蓄積方法としてはざっくり言えば信頼関係を築くことです。
義理人情とか、情けは人の為ならず、みたいな言葉がフィットすると思います。
さてこの社会関係資本実はけっこうな問題児で、経済学的にはこの、社会関係資本やソーシャル・キャピタルという言葉自体にまず抵抗感があるようです。
それには次の理由があります。
資本:
・投資によって意図的に蓄積するもの。
・使ったら減る。
・地縁や伝統に基づくもの。
・信頼関係のようになにかのきっかけで急速に劣化することがある一方で、
使うことでより強固になるなど必ずしも使い減りしない
・近隣からの強すぎる監視など負の側面を伴うこともある
ということで、90年代以前の経済学者達は「そもそも資本(キャピタル)と呼べるのか?」となっているとのことです。
とはいえ少しずつですが経済学として地位を向上させてきています。
経済における社会関係資本の重要性を無視できなくなってきた。
よく「発展途上国に先進国の機械を持ち込んでもあまり使ってもらえない」という話があります。その原因をソーシャル・キャピタルに見出したのが世界銀行でした。長年の支援から“資本や技術を託された個人の能力よりも個人間の相互の信頼・協力関係に原因がある”との問題意識が蓄積されていました。
要は“魚の釣り方を教えてあげる”でも効果が出なかった理由を、魚を釣るという行為がそのコミュニティでどんな意味を持つかまで考えられていなかったということです。
“私の生活は充実したものだった。
ある日知らない人が来て「あなた達は貧困だ」と言った。
私達の貧困はその日から始まった。”
という途上国支援についてのコメントがありました。
技術支援のやり方だけではない、相手が世界をどう捉えているかを理解しなければなりませんでした。
そこで世界中の超一流の経済学者を集めて研究会を開催したところソーシャル・キャピタルが経済活動に重要な影響を与えるものとして認められました。(Dasgupta & Serageldin 2000)
また、社会関係資本を計測する試みも行われており、世界銀行のスティーブン・ナック、フィリップ・キーファーによって信頼関係に関する質問への回答を用いてソーシャル・キャピタルを数量化するが行われ、ソーシャル・キャピタルが経済成長率に対して正の関係を持っていることを発見しました。(ただし質問による結果は精度が低いという指摘があり、現在は経済実験学の手法がよく用いられています。)
また、社会もソーシャル・キャピタルの存在を支持するかのように動いていきます。
貧しい人たちが個人で融資を受けられないため、持ち回りで融資を受け、返済したら次の人が借りられるという与信制度を確立したグラミン銀行。
アメリカの新卒文系学生が選ぶ最も就職したい企業、Teach For America、認定NPO法人フローレンスや特定NPO法人クロスフィールズ、アショカなどの社会起業やソーシャル・イノベーションによる社会へのインパクトの大きさ。
また、災害後の立ち直りの研究についても社会関係資本が果たした役割の側面から次のような事例が紹介されている。
・関東大震災、阪神淡路大震災、インド洋津波、ハリケーン・カトリーナについてソーシャル・キャピタルの水準が復興の速度と程度を決定づけている(Aldrich 2012)
・東日本大震災の被災市区町村データを解析し、震災前の犯罪率と津波による死亡率が有意に正の相関関係を持っており(Aldrich & Sawada)、社会関係資本が津波による人的被害を軽減する役割を果たしていたと考えられる。
etc…
というように、いろんなデータでソーシャル・キャピタルが果たしてきた役割と同時に、社会関係資本の役割が多面的であることがわかると思います。
この社会関係資本を強力に後押ししているのがオンラインコミュニティの存在です。
SNSをたくさんの人が使うようになったことは社会関係資本の蓄積・活用においてそれ以前と比べて飛躍的になりました。
もう無視できないビジネス上の社会関係資本
アカデミックが先か、ビジネスが先か…というのはよくある話ですが、社会関係資本も例に漏れずビジネスシーンでも盛り上がっています。
SaaSのサービスが増えてきており、ユーザーをコミュニティ化して、社会関係資本とすることが重要となってきています。社会関係資本は他社が絶対にマネできないのです。ユーザーをコミュニティ化することの良さは冒頭の馬田さんのスライドがめちゃくちゃ詳しいのでここではスライド内から“こんなところで役に立つよ”というところを。
・マーケティング
・プロダクト
・プラットフォーム
・カスタマーサポート
・カスタマーサクセス
・HR
・イノベーション
これらのワードが関わるお仕事に就いてらっしゃる方はぜひ馬田さんの資料を読んでみてください(再掲)。
https://www.slideshare.net/takaumada/startup-community-management-1
ちなみにコミュニティ作りの副産物として生まれるのが社会関係資本であって、
コミュニティ≠社会関係資本であることにご注意ください。
とまぁそんなこんなで社会関係資本、ソーシャル・キャピタルって面白いよ!って記事でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
青木
ニューオーリンズに学ぶ災害復興における起業家エコシステムの役割
どもども。青木です。
いきなりですが、もう青木この本大好き。
誰か全巻揃えで買ってくれください。
さて、この本に関連したブログが4,5本あるのですがそのうちの1本であります。
本書で紹介されている中に地域経済と社会起業について書かれています。
今回は知ってる人も多いかもしれませんがニューオーリンズで起業家エコシステムを作っていたティム・ウィリアムソンさんのお話しを紹介します。
注意なのですが
災害復興後に起業家エコシステムができたみたいな記事が多かったのですが、
ちゃんと調べると起業家エコシステムの仕込み自体は災害前からです。
2005年にハリケーン・カトリーナの被害を受けたニューオーリンズに
起業家エコシステムがあったがために、
政府や外部のニューオーリンズ出身者からの支援を受けた際にできたネットワークを維持することができて、
今に繋がっているよ、
というお話しです。
さてさてはじまりはじまり〜。
教育水準の低さ、犯罪率の上昇、頭脳流出、若年労働人口の流出が激しかったニューオーリンズ。
起業家ティム・ウィリアムソンはニューオーリンズにUターンし、2000年、アイディアヴィレッジを立ち上げました。アイディアビレッジは主として地域のために活動する地元の起業家をエコシステム構築によって支援してきました。投資家、企業、政府がネットワークに参加し、相互にリソース提供を行い、2009年以降5,854人の起業家と仕事をともにしてきたとのことです。
ウィリアムソンは起業家のエコシステムを次のように説明しています。
エコシステムは、地域の文化や状況にあわせて創造されるものである。投資家や企業など資本提供者、大学、政府機関など多様な人々や組織をまとめ、かつ、彼らが積極的に動き出すように、地域のリソースを結びつけていく。エコシステムは、長期にわたるコミットメントがあってはじめて創造できるものであり、地域の資産となる。それを起業家が活用するには地域のエコシステムは有機的でならなければならない。
また、起業家のためのエコシステムを構築するには、次の5つのステップが重要であると述べています。
1. 課題を特定する(Identify the Issue)
2. 起業家となる人材を見つけて定着させる(Find the leader and Retain)
3. ネットワークを構築する(Scale the network)
4. 維持していく(Sustain the network)
とのことであり、ニューオーリンズのエコシステム構築には10年かかったとのことです。
あとちょっと次のところすごく良いから読んでいって!
若者の流出が課題であると特定しがちであるが、ウィリアムソンは地域に資本、インキュベーター、技術支援など起業をサポートする機会が様々あったにもかかわらず起業家が去っていったことに注目した。そして「既存のネットワークはあったが、それは、閉鎖的なものになっていたこと」が課題だと特定した。
なるほど感が強いです。確かに昨今の潮流はより起業家フレンドリーに変わっていると感じています。シリコンバレー式の取捨選択、からほとんどの地域で起業家の数が少ないために起こっている、育てる方式への転換のためではないかと考えられます。
ウィリアムソンは地域のリーダーについてこう述べています。
地域のリーダーとはコミュニティの多様な人をまとめる力を持つ人であり、彼らのモチベーションは未来を創造することに影響を及ぼしていることへの充足感である。地域イノベーションに必要な起業家精神とは、「変化を起こすだけではなく、変化を受け入れる許容力であった」
「変化を起こすだけではなく、変化を受け入れる許容力であった」
字面にするとよく見るし簡単な表現だと思いますが、
ネットワークを構築し、維持する上では大切なことです。
起こった小さな変化が受け入れられることで、さらに大きな変化を呼び込んでいく。
エコシステム作りはそういった小さな変化を一つずつ積み重ねて、
大きな変化を待ち受けることなのだと思います。
青木
企業内コミュニティマネージャーとオープンイノベーション
どもども。青木です。
ここ3ヶ月くらい
青「企業にもコミュニティマネージャーが必要な世界が来ると思うんスよねー。なんとなく。」
人「…(゚Д゚)ハァ?」
というやり取りが何度かあったのですが、
このへんの学術研究を発見したのでシェアします。
そもそもなんで社内コミュニティマネージャーなんていい出したのか。
そもそも企業内コミュニティマネージャーが必要だーと私が言っている背景としてパナソニックでの体験がありました。
パナソニックにはWonder LABというオシャな社内外向け共創スペースがあります。確か私がパナソニックに入社した2016年にできました。
そこには血気盛んな「俺が一発やってやらァ!」という人と、「自分でやるほどじゃないけど誰か面白いことやろうとしていたらお手伝いしたいなぁ」という人が集まっていました。
ここでは様々なイベントが設けられ、ピッチをしたり、当時流行っていたサービスについて議論したり(ポケモンgoとか)、社外からゲストを呼んで講演を聞いたりしていました。
私もそこでピッチしました。新入社員では初めてとのことでした。
内容は「なんでもやるからシリコンバレーかイスラエルに連れてけ!」というピッチでした。もうむちゃくちゃですね笑
そこでいろんな人と挨拶(名刺交換)することになるのですが、
マッチが起きない。
なにが原因かというと共通点探しが非常に厳しい。
最初の名刺交換。
人「メカトロニクス事業部の…」
青「(なにそれ。カッコいいんですけど。)
あ、デリバリー部の青木です」
人(推測)「(ピザ屋なの?)」
という感じでお互い何やってるかよくわからないんです。
共通点って見いだせないとお話し厳しくなるじゃないですか。
そうすると挨拶だけになって結局マッチが起こらずプロジェクト化しなかったんです。
もしコミュニティマネジャー的な立ち回りをして間を取り持って、共通点を見いだせる人がいたらきっとプロジェクト化していたと思ってます。
※あくまで当時の話しであってその後運営チームの方々の尽力でハッカソンのアイディアがきちんと試作品までこぎつけたりしてます。
ということで本題の論文を紹介しましょう。
企業内ソーシャル・キャピタルとオープンイノベーション
(百嶋 2018)*1は“ネットワーク閉鎖性"について述べています。
このネットワーク閉鎖性にはグラデーションがあります。
閉鎖性がクローズドに寄りすぎるとクローズドイノベーションにこだわったり、NIH(Not Invented Here)症候群にかかると指摘しています。
よくオープンイノベーション文脈で取られがちな社外との関わり、と先述のクローズドの間に『企業内ソーシャル・キャピタル』があるといいます。
社内にはそれぞれの組織が独立しがちで「社内顧客」などと呼ばれたりしますが、この社内顧客の満足度を向上させておくことが企業内ソーシャル・キャピタルにおいて大切なことです。
「いつもよくしてもらってるから今回は無理を聞いてあげよう」みたいなことですね。
また、オープンイノベーション(企業外含む)で留意すべき重要なポイントとして次のように挙げられています。(以下要約)
情報・人的ネットワークの構築
外部連携の契機は個々の担当者の人的ネットワークによるものであることが多い。偶発的な出会いを引き寄せるために、日頃から情報収集力を付けておくことも重要であろう。そのための活動としては多様なネットワーキングやコワーキングスペースやシェアオフィスへの参加などが挙げられる。これらの活動は必ずしもフォーマルな業務としてではなく、インフォーマルな自主的活動として取り組むことが望まれる。企業としては、このような個人レベルの裁量的・創造的な自主的活動を許容・奨励することも必要であろう。(要約終わり)
人材の流動性が激しくなっている現代において上記のような役割を果たす、外部とのネットワークを持った社員を育成・確保・定着するために必然的に働きやすい環境を整備する必要がある。
ハイブリッド型ネットワーク構造
ネットワーク閉鎖性を保つ一方で、オープン化を推進するというネットワーク構造についても言及されています。
本書ではアップル、GE、IMEC、ファブラボの先進事例が取り上げられていますが、すごく雑にいうと社員同士の繋がり、社内ネットワークを構築する一方で、社外とのネットワーク構築を一緒に進めることです。
ここではバーチャルなネットワークは組織同士の橋渡しとして、リアルな場は人と人との直接の繋がりを通して偶発的なイノベーション創出がなされるとされています。
さて、たまたま読んでた本に"社内ネットワークまじ大事”って書いてあって感激したのでシェアしちゃいました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
青木
*1:大守隆『ソーシャル・キャピタルと経済 効率性と「きずな」の接点を探る』ミネルヴァ書房,2018,p89-109
アメリカでのコミュニティマネジャーの仕事の定義
どもども。青木です。
funky jumpでの様々な活動を通して多くのコミュニティマネジャーとお会いさせていただいているのですが、その中で「コミュニティマネジャーの仕事ってふわっとしていて定義がまだなされていないよね」という意見によく出会います。
また、「コミュニティマネジャー集まれ!」というイベントなどではオンラインコミュニティマネジャー(オンラインサービスを中心としてコミュニティ施策を実施していく。ex. ゲーム、利用者配信型アプリなど)と、オフラインコミュニティマネジャー*1がわさっと集まるような感じです。
そこで米国のジョブディスクリプション*2を探してみることにしました。
さすが米国、網羅的にオフラインコミュニティマネジャーの仕事内容が定義されています。
「どこまでが仕事内容なのかわからない…」という声もお聞きしますので参考までにご覧いただければ。
ちなみに米国でもオフラインコミュニティマネジャーの位置づけは異なり、更に権限がどれだけ与えられているかによっても違うようです。
ということで今回参考にしたコワーキングスペース向けシステムを提供しているGreetlyが自社メディアで公開しているジョブディスクリプションです。意訳してみたので参考にしてみてください。
※下線部はわかりやすく入れてみた架空のスペース情報です。
以下リンク先のジョブディスクリプション意訳
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概要
ワークスペースぴょんぴょんは国分町においてアットホームな雰囲気を強みとした空間です。
我々のミッションはスタートアップ、自営業、NPOそしてアーティストの方々に、クリエイティブなオフィス環境を提供することです。
我々はこのローカルなコミュニティに誇りを持っており、利用者者にとってより事業・活動を実施してもらうためにこの空間を提供しています。我々はこれらをホスピタリティを持って実現しています。
(ワークスペースぴょんぴょん)はフレンドリーで、細かい所に目が行き届く方を、(ワークスペースぴょんぴょん)の顔であるコミュニティマネージャーとして積極的に探しています。
我々は、あなたが日々の業務活動や事務処理をこなしながら、素晴らしい体験を利用者に提供することにより、コミュニティの成長に貢献することを期待しています。
また、この仕事に就くあなたには丁寧なサポートや、主体的にビジョン達成に取り組んでいただくことで責任感ある仕事であると考えています。
■コミュニティマネジャーの責任範囲は下記を含みます
・コミュニティマネージメント
・フレンドリーな環境を作り、メンバーの満足度を高めること。
・(ワークスペースぴょんぴょん)の価値を信じること。
・メンバー間での繋がりを作るための企画・実行。これには特定のメンバーの紹介、メンターマッチング、ネットワーキングイベントの開催、スペース・Web上でのコミュニケーションのマネージメント等を含みます。
・テナント企業や個人事業主が関心を持つビジネス情報や入居者の個人的な目的を把握すること。
・メンバー間のトラブルを、緊張が走らないような形で、迅速に解決すること。
・新しい意見が歓迎される雰囲気を作ること。
・新規利用者の登録や退会者の監督すること。
■イベントの企画・実行について
・下記のステークホルダーを含むイベントのカレンダーを4半期ごと構築する。
└現在の利用者に対して:教育的なもの(ランチ・勉強会)、感謝を示すイベント(ハッピーアワー・テーマのあるパーティー)
└将来の利用者に対して:将来の利用者を集めるようなイベント
└地域のコミュニティ:スペース外部のイベント運営者を探し、イベントスペースを使ってもらうこと。イベントの性質にもよるが、(ワークスペースぴょんぴょん)の顧客管理システム(CRM)やSNS上のコミュニティの構築にもこれらのイベントを活用すること。
・割り当てられた予算を管理すること。
・地域のキーマンにコミュニティの良さをアピールすること。
- チームと共に、ケータリングから、スムーズなイベントへのチェックイン、掃除のプロセスなど含めてイベントを監督すること。
■事業開発について
・オーナーと共に売上目標、入居率、価格設定などの設定・達成に責任を持つこと。
・見込み利用者に対して内覧会を実施すること。
・地域の記者やコミュニティのリーダーが(ワークスペースぴょんぴょん)へ興味を持つようコンタクトすること。
・地域で開催されるイベントに出席し地域のコミュニティに関与する。
・新しいメンバーが(ワークスペースぴょんぴょん)のカルチャーとミッションにフィットするよう促すこと。
・主要な取引先や地主と良好な関係性を維持すること。
■施設・空間の管理について
・利用者にとって満足度向上に繋がる全ての建築工事を管理すること。
・Wifi、キッチン、プリンター/コピー機等の主要な設備を常に使える状態にすること。
・利用者にとって影響のあり得る施設に関する問題を認識してもらうこと。
・空間や利用者を管理するための様々なコワーキング向けのソフトウェアを活用すること。
・オーナーに対して、メンバーにとって魅力的な新たな特徴や設備の導入を推奨すること。
・施設や主要な備品の修理のためのメンテナンスを行うこと。
・清掃が当初の計画通りなされているか確かなものにすること。
・利用者の安全や緊急事態への備えに関する地元の法令や規制に注意を払うこと。
■パーソナル・マネジメントについて
・上記に示されたコミュニティ、売上、そして設備に関する目標を達成すべくチームをマネジメントすること。
・それぞれのチームメンバーの専門的能力開発に対して責任を持つこと。
・チーム全体で定例ミーティングを行い、チームが目標に向かって行動していることを確認すること。
・週次で1 on 1ミーティングをチームメンバーと行い、個人の業務や目標の状況に関して評価すること。
- チームメンバーの360°的なパフォーマンス評価を推進すること。
・チームに関しての知見について経営者意識を持って共有すること。
■経験や必要項目について
・四年制大学の卒業。
・営業やカスタマーサービスの分野で2~4年の経験。
・プロジェクトマネジメントのスキルを発揮できること。
・多様な技術理解。コワーキングスペースで活用する様々なハードウェア/ソフトウェアを理解し、使用することができること。
・ソーシャルメディア法人アカウントの運営経験。
・ビジネス系のコンテンツ作成経験、基礎的なグラフィックデザインスキルがあればなおよし。
・(国分町)と我々の起業家コミュニティへの情熱。
・オーナーとのコミュニケーションが少ない中で独立して業務に取り組むことへの関心。
・英語に堪能である。他の言語が話せるとなおよし。
・倫理、共感性、信頼性に富むこと。
・(国分町)で働くことが法的に許可されていること。
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いかがでしたでしょうか。
オフライン、オンラインと分けましたが米国のオフラインコミュニティマネジャーはオンラインでの活動経験も求められるようです。
米国の方がコミュニティマネジャーの仕事が早期より発展しているのですべて真似ればいい、ということではありませんがぜひご参考に。
お読みいただきありがとうございました。
青木
*1:オンラインコミュニティマネジャーと区別するためにコワーキングスペースのコミュニティマネジャーをここではオンラインコミュニティマネジャーとします。オンラインとオフラインの違いは中心とする場の違いです。
*2:ジョブ・ディスクリプションに記載される代表的な項目は、職務のポジション名、目的、責任、内容と範囲、求められるスキルや技能、資格など。特に職務内容と範囲については、どのような業務をどのように、どの範囲まで行うかといったところまで詳細に記述されます。 引用:https://www.hrpro.co.jp/glossary_detail.php?id=111
地方発スタートアップの勝ち筋は“エコシステムづくり"にあり
どもども。青木です。
先日Talk your willが仙台で開催されまして(オーガナイザーであるPALLETのあきこさん、ありがとうございました!)登壇させていただきました。
その中で、地方のスタートアップで勝ち筋とは、みたいな話しになったので共有したいと思います。
■私のwill
まず私のすごく個人的なwillなのですが、
震災直後に「かわいそうな東北」と言われたことへの得も言われぬ悔しさがありました。もう誰にいつ言われたのかは思い出せないのですが、この悔しさ、怒りは今でも残っています。
「もう二度とかわいそうな東北なんて言わせない。」そう最後に宣言させていただいたのですが、その後の懇親会で「俺もあの言葉だけは許せない」と声をかけていただいた方は目に涙を浮かべていました。
羊一さんは「東京から来ると仙台全然イケてるじゃん!って思うけどね!」とコメントしてくれました。その感覚もすごくよくわかります。なんせハーバード大学が毎年被災地でのビジネスを考える合宿を開催しているくらいですし、別に「かわいそうな東北」と皆が思っているわけではないことも承知です。
心無い人が言ったわけでもない、きっとあのときの被災地を想ってくれた方がおっしゃったのだろうとは思いますが、今では僕のエンジンになっています。
■地方発スタートアップエコシステムの強みは第三セクターサポート
僕の持っている仮説の話しをしていきます。
地方でスタートアップをやることの強みは行政のソフトなサポート力だと感じています。細かな露出が多く、結果的に我々の信頼性アップに繋がっています(銀行などお金が絡んでくると会社を調べますから、初めての場所でもよく「あの青木さんですか?」と言ってくれるようになりました)。
先日Coral Capitalの相談会に行ってきて、澤山さんとお話ししたのですが神戸でも似たようなことが起こっているようです。
なんでも、「スタートアップがなかなかアクセスできないデータに大学や病院が連携して進めてくれる。その窓口として行政の方がつなぎ役になっている」というお話しでした。
石を投げれば起業家に当たるシリコンバレー流と異なり、日本のスタートアップはまだまだ発掘・育成が必要と言われています。
起業家密度の高い東京ですらそう言われているのですから地方でスタートアップがないエリアは育成が重要になってきます。
そこでこれまで仙台市やMAKOTOが果たしてきた役割は小さくないわけです。最近では消滅可能性都市となっている丸森町でも地域おこし協力隊を活用した起業家向けベーシックインカムの取り組みがなされています。福島は浪江町でも自動運転の実証実験 がなされるなどしていますね。
これらの取り組みは地方できちんと関係性を築ける人であればあるほどアクセスがしやすいと思います。サービス自体がいかにしっかりしているかよりも、その人が本当に地域に貢献してくれる気持ちを持っているかが重要視されていると感じます。
■スタートアップの成功をどう地域と絡められるか
私が今課題を感じているのはここです。
前述の通り、地方発スタートアップの戦い方は第三セクターからのサポートによって東京のスタートアップにできないことをすることです。
では、どうやって地方発スタートアップの成功を地元に還元するかが大事です。
私のチームは現在8名ですが、全員東京にいます。
大学時代にNPOで一緒に活動していたメンバーが多いですが、
卒業して3年経った仙台ではもうチームアップができそうなツテなどはありませんでした。
率直にいえば、スタートアップにチームメンバーとして関わってみたい、という人材がまだまだ少ないです。
それは単純に接点とスタートアップ母数の問題だと思っています。
シリコンバレーのように「あの起業家はいくつも会社を作っては人に渡して、作っては人に渡ししててね」というキラキラエピソードにあふれているわけでもなければ、東京で数あるスタートアップがいる中で「ちょっとやってみようかな」「へー、スタートアップやるんだ…(ググる」の機会がないのです。
また、「ちょっと手伝って」≒ボランティアになっていた時期が仙台にありました。“ちゃんとお金を回そうね"という意識はだんだん出てきましたが、スタートアップ的な「よっしゃ、チームとしてジョインして最初のメンバーとして株持ってよ」とか、「今はこの金額だけど将来大きくなってストックオプション出すからね」というインセンティブは知識の点から利きにくいように感じます。
しかし、非営利のボランティアに対して営利のスタートアップは労働対価を支払うことを前提に話が進んでいきます。この発想はぜひインストールしていきたい。
私も今のメンバーにきちんと給料を払えるようになって、
開発体制が整い次第仙台での採用をガンガンやっていきたいと考えています。
我々スタートアップは採用欲旺盛です。資金調達計画は採用計画を基準に作られています。そこがスモールビジネス*1との違いです。スタートアップはどんどん雇用を創出していきます。その時に、地元からお付き合いでなく雇用ができる環境があることは必要不可欠、むしろこれができなければ私のwillとして大失敗なのです。
その前段階としてまずはスタートアップ仲間を増やしたり、スタートアップとはなにかということをどんどん伝えていくのが私の仕事だと考えています。
■スタートアップエコシステムを構築する
仙台レベルの規模感ですらチームアップまでいくのはちょっと厳しいような気がしています。様々なイベントを通して繋がりの創出を行っているのですが、「ここに行けば◯◯な人がいる」みたいなわかりやすい入口が出てきたのは最近のように感じています。
松下幸之助が「あんたのところは他社製品のマネしかしないじゃないか。“マネした電器”と呼ばれとるぞ。」と言われたときに、
「そうですねん。弊社にはソニーという優秀な研究所がございまして。」と返したといいます。ソニーの役員と松下幸之助はよく飲んでたらしいです(笑)
発明の得意なソニーと広げるのが得意なパナソニック。当時はそんな競争(?)関係があったのかもしれません。とにかく互いの動きを把握しながら持ちつ持たれつやっていった。
また、先述したようにまず「スタートアップとはなんぞや」をやっていかなければなりません。
「スタートアップ経営者に触れよう!」みたいなのはちょっとおこがましくてできないので、まずは入居してるenspaceにスタートアップ本を寄贈させていただいたり、私が仙台にいるときはランチ会を開催(前回やって面白かったのでちゃんとやろうと決めました)したりしています。
ランチ会はもうカジュアルを通り越して、「僕がご飯作るのでみんな食べに来てください」というスタイルでやってます(笑)
まずはenspaceのインターン生とその場にいる入居者の方を捕まえて…という形式ですが、何回かやってみて広げるか広げないか検討したいと思います。
密かに「任せて!あおきっちん」って呼んでます。僕にとっても料理するのは良いリフレッシュになってます。活動に賛同いただき、一緒にシェフやってる将太さんの回も名前考えないと…。
こういった活動は我々スタートアップのプレイヤーがやっていく必要があると考えています。起業家仲間を増やすこと、起業に興味がある人が関われる場所を作っていくこと、きちんと地元の人材を雇用していくこと。これがいずれ地方のスタートアップが勝つ秘訣だと思います。足元の人材なくして成功のイメージは見えません。地方への貢献のあり方は会社のステージに応じて様々な形があると思いますが、人を残すことこそ重要と考えています。
地方でのスタートアップ成功事例は一社だけではない、皆での成功が重要だと思います。それぞれの抱えるミッション、資源を持ち寄ってどうすれば皆で成功できるかを考えることが大事です。
地方から人材はどんどん流出していきます。
今、しゃんと立ち上がることが我々スタートアッププレイヤーだけでなく地方の勝ち筋になっていくと思うのです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
*1:規模は小さいものの優良な企業である中小企業を指す。一般的に事業売却や株式上場による売却益を目的としておらず事業の拡大もスタートアップと比べて比較的緩やか
わりと覚悟して仙台で起業したのにとってもチャレンジングな街になってた件
どもども。青木です。
仙台で起業してはや2ヶ月が経ちました。
このあたりで仙台での起業してよかったことがいくつかあったのでまとめておこうと思います。
■補助金や制度的サポート面でまず東京には敵わない。
まずはじめに補助金をはじめとして制度的なサポート面です。仙台にはアシ☆スタという創業サポートデスクがあります。ここで創業支援の相談に乗ってもらうと創業時の税金が半額になるという仕組みがあります。
一方、東京にはStartup Hub Tokyoという施設からTokyo DOCANをはじめとした各種プレシード向けイベント、シード段階に入ると青山スタートアップアクセラレーションセンターのプログラムなど起業家をサポートする施策がたくさん存在します。起業家の数や投資家の数はもう言うにおよばずですね。
また仙台と福岡の比較でも起業数はどっこいなのに、内訳で見るとITが多い福岡に対し、仙台は飲食・美容室などの開業がほとんどです。
とはいえ指を加えて見ているだけの仙台ではありません。
OHU×MORI(奥羽の杜)というプログラムのもと、Tohoku Growth AccelaratorやSendai for Startupsなど様々なイベントが開催されておりまして2月中はもうスタートアップイベントだらけ、という様相を呈しております。東京に敵わないながらも頑張っている、というのが開業前の仙台の印象でした。
そんなわけで、仙台で創業するのは条件面だけ整理するとイマイチ…。という感じでした。
周りの人も「どうして(わざわざ)仙台で起業するの?」という感じでした。
もう創業する前などはただ使命感と決意だけでした。それは以前書いた記事に載せたのでここでは割愛します。
■意外とスタートアップウェルカムな街になっていた
さて、仙台で創業した私ですがまず驚いたのはenspace。私の入居先のコワーキングスペースですね。
まだ東京にいた私ですが登記をはじめとした慣れない部分でもフォローいただきました。
また驚いたのは銀行ですね。某地方銀行で法人口座解説の手続きをしたのですが、Polar Pear Pitching効果もあったのかなんと次長が出てきてくださいました。担当窓口の方も「仙台で起業していただけるなんて嬉しいです!」みたいな。ずっと企業誘致、起業促進に取り組んでらした中でとのことで喜びもひとしおなのでしょうか。今までは保守的だと思われていた銀行ですが、スタートアップ支援にも関心を持っているようです。
■「すごい公務員」の存在
仙台市職員の方々はなんというか、情に厚い、“なにか自分たちにできることはないか”というマインドを強く感じます。「こういうの困ってるんですよねー」とお伝えすると「青木さん、それならこういう人ご紹介できるので今度お声がけしましょうか?繋ぎますよ。」みたいな。
また、なんかこう…「よくわかんないけど頑張れー!」って感じの、まずチャレンジしていることへの応援ですかね。事業がイケてるイケてないなんてわからない、という前提に立って、応援ベースで接してくれるのがいいですね。
気軽に相談できて「この補助金使いました?」「それならこんなやり方がありますよ」というのをお伝えいただけるのはすごくありがたいところです。なんというか心強い。
かの有名な仙台市職員、白川さんがTohoku Growth Accelerator のセッションで「我々の仕事はルールの中で、どうやったらできるかを探すことです」とおっしゃってましたが本当にそのように動かれているので助けていただいております。
■市民発のイベントがまたできてきた
今まで知らなかったのですが、定禅寺通りをライトアップする仙台光のページェントは加巣多夢というカフェの店主が「冬は窓からの景色が殺風景だなぁ」ということでお店の前の木を電飾で飾ったのが最初だったようです。
それからJAZZ FESやSencai Coffee Fesなど多くの市民企画のイベントが出てきているわけですが、先日enspaceの近くの肴町公園というところでイベントをやってました。このDayoutというイベントも30代のカフェの店主が「俺らが小さい頃の公園ってもっと楽しかったよね」という気付きからイベントを開催するに至ったとのことです。
肴町公園といえば昼間は人もまばらで夜はタクシーのおっちゃんのタバコ休憩場所、暗くてなんでもないような公園でした。しかしDayoutの活動の結果、公園内に絵本を置いておけるキャビネットを設置できるようになるなど活動がきちんと身を結んでいます。
ムラ化せず誰かのチャレンジをまた誰かが応援していく、その連鎖が生まれていっているのを実感した瞬間でした。
■僕が仙台のエコシステムに貢献できること
さて、では自分ではどういたそうかと思うものです。
先日とあるイグジット起業家、現投資家の方がおっしゃっていたのですが、「これまで数多くのスタートアップ支援施策が出てきて多くがムダだと言われてきた。またスタートアップも数多く死んでいった。でもそれはある意味腐葉土のように今のスタートアップ達の養分になっている」というお話しをいただきました。
まさにそのとおりだな、と思っていて、
仙台は震災後、復興関連の動き、より広範のソーシャル、ライフスタイルと関心事が2,3年ごとに変わってきたように感じます。その中のストーリーで「やっぱちゃんとイケてる雇用作って仙台に人を残さないとね」「東北からいきなり世界を目指すような企業をつくっていきたいよね。」という文脈で今の仙台のスタートアップシーンができてきているのだと思います。
今私ができることは少ないけれど起業しようかどうしようか、みたいな人たちの相談に乗れたり、私が今読んでいる本を通してスタートアップの世界を覗けたりするかなーと思っています。
MAKOTOの堀江さんといろいろな活動を議論したり、enspaceの可野さんともちょっとした活動を…。
僕も仙台のエコシステムに貢献し、腐葉土としてさらなるスタートアップの誕生、スタートアップに関わる人の人材創出に取り組めたらと思っています。
「ここでなら挑戦できる」と思ってもらえる街を、皆と一緒に作っていけたらと思います。
ここまで読んでいただいた皆さんありがとうございました!
Polar Bear Pitchingに参加した理由と所感
どもども。青木です。
フィンランドはオウルで開催されてPolar Bear Pitchingから返ってきました。
どうしてPBPに出たか、そしてその所感をまとめようと思います。
■プレシードでは起業家がどれだけ動いている感を出すかが大事
僕のチームには今6人のメンバーと2人のメンターが力を貸してくれています。
仮説検証を進めている中でチームのみんなに色々なお願いをしつつ、事業を少しずつ前にすすめています。
その中で、僕自身はゆっくりながら進んでいる感を持ってはいるもののみんなに「今手伝っている事業はイケている」「取り組んでいることはめちゃくちゃおもしろい」というように感じてもらうのがとても大事なことだという学びがありました。
初めてのMVPができたとき、僕は大喜びしてシリコンバレーにいる友達にピッチデックを送り、現地の起業家に見せて来てほしいと伝え、フィードバックをもらってきてもらいました。
CTOは驚き、すごく喜んでくれて「あんな完成度で持っていかれるとは…」と開発スピードを早めてくれたのでした。
その中で「事業がきちんと進んでいることを伝えるのが大事」であることはわかったのですが、まだサービスインしていない状況で数字の伸びも見られない中では第三者からのフィードバックを得ることの重要性に気づきました。
そんな折、仙台でPBPの本戦出場権を懸けた予選があると聞きました。BPBのことは以前なにかの記事でみて知っていました。
普通に考えれば今の段階で外国に出ても出資はまず受けられないだろうし、提携を結ぶビジネスも存在していないので蹴るところですが、日本人初出場、フィンランドと日本の外交関係樹立100周年というアニバーサリーてんこ盛りな状況(≒メディアも興味を持ってくれそうな状況)でかつ、日本で強いスタートアップ(サービスインしている、すでにシリーズAやBまで進んでいる)が出ない中、出場しない手はなかったのです。
■僕がこの事業に懸ける想いを伝えたかった
僕は英語が話せます。きっかけは中学生の時に必死に練習した、キング牧師のI have a dreamです。あのスピーチを先生の指示で完コピし、英語で雄弁に語ることが一つ僕の夢でした。
英語を話すときは人格が英語人格になる、という人はまぁまぁいると思うのですが僕もその質です。
I have a dreamのようにビジョナリーな言葉も出てきます。
「Expand your memory capacity, keep your network active, and make evolution of mankinds, social networking」
「Who want's to be a witness of human evelution?
Who want's to be the next Peter Thiel who did innitial investment in Facebook?
Who want's to join us and cultivate the world of human augmentation?
〜 Let's gonna be the person written in textbook of history.」
こんな言葉たちです。(ゼロワンブースターの川島さんに英文添削していただきましたがこの辺は僕が付け足したので多少英語間違ってるかもです)
これらは僕が常日頃思っていることですが、
なかなか公衆の面前で口にするチャンスがなかったり、
「なんかビッグマウスすぎるかなぁ」と思ったりして躊躇してしまいます。
しかしながら、あのお祭り感あふれる雰囲気の中では「こりゃあ言ったもん勝ちだな」と思えたのです。
こういったことをきちんと伝えられたからこそ、1ミリの投資対象にもならない私が投資家とお話しできたり、ファイナリストに選ばれたのではないかと思っています(審査員は全員投資家)。
■PBPに参加して見えた世界進出
PBPへの出場は結果的に世界を目指すことのリアリティに繋がりました。というのも、最初は「どっかの国に刺さって大ブーム!みたいなのがあればいいなぁ」とお花畑的に思っておりました。
しかしPBPで繋がったVCや投資家、他スタートアップとの話や、ビジネスオウルの内田さんにコーディネートしていただいた現地企業とのディスカッション、最後のNJET WORKING(コワーキングスペース)の出会いが「もしヨーロッパに出るならば」という視点を爆速で育ててくれました。
また、「なぜ世界を目指さねばならないのか」という問いのブラッシュアップにも繋がりました。国内マーケットを食べて生きる選択肢もある中で、やはり世界を目指さなければならないと強く感じました。また別の記事で詳しく書きたいと思いますが、地方が首都に呑まれずに力強く生きていくためには世界へ飛び出す企業の存在が不可欠だということを感じました。オウルにとってのFinger Soft、仙台にとってのfunky jumpですね。
■所感
PBPに参加できて本当に良かったと思っております。
現地企業とのネットワークはもちろん、志を同じくする理解者にもめぐり会えました。
正直投資家とのミートアップは断られまくってたのですが(もちろんヨーロッパにすら拠点を置けないので当たり前であり別に不親切だとは思ってない)、理解者の存在は、自分のビジネスが世界で通用するかもしれない、という可能性も得られました。
また、あの短時間でスタートアップ同士互いに親睦を深め、世界にライバルができたのは大きいですね。
ということで今回のPolar Bear Picthingはこれにて終わりましたが、長崎市は村崎さんが「次絶対応援行くからめちゃくちゃしようぜww」とおっしゃっているので今度はプロダクトを磨いて、実際に欧州進出への計画を持って、優勝を持ち帰りたいと思います。
今回のPBPを仙台でやることを決めてくれた仙台市の白岩さん、白川さん。
僕がピッチに専念できるように身の回りの雑務を一手に引き受けてくれたMAKOTO事務局の堀江さん、
事前練習はじめ様々なアレンジメントをしていただいたビジネスオウルの内田さん、
英文添削・英語版HPや名刺の作成をしていただいたゼロワンブースターの川島さん、谷澤さん、
そして今回に合わせてサービスの英語対応に尽力してくれた仲間たちへ無上の感謝を込めて。
Let's gonna be the person written in text book of history.
※まだピッチを見てない方はこちらから!